お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「見合いは断ってるよ。だいたい、俺が見合いしてる姿、想像つくか?」

「つきませんね」

「だろ」

全然褒められたことじゃないのに、なぜだか彼は誇らしげに頷く。

「でも、雉名さん、特に彼女がいるわけでもないんでしょう?」

「まぁな……そういえば、俺のことが好きだとかいう女の話って、結局誰だったんだ?」

うっ、と私は思い出して呻く。さんざんオブラートに包んで尋ねたのに、あっさりとバレちゃったあの話かぁ、と思い出して憂鬱になった。

まぁ、興味を持ってくれたのなら、それはいいことなのかもしれないけれど。

オフィスのドアの前で雉名さんが足を止めたから、カードリーダに入館カードをかざして、両手が塞がった彼の代わりにドアを開けてあげる。

「興味持ってくれましたか?」

「見合いよりは、な」

「かわいい子だったら、お付き合いを考えてくれます?」

「どこかの強情女よりかわいかったら考える」
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