お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
週が明けて四日後、穂積柊一は契約期間を満了し、新海エレクトロニクスをあとにした。

残りの四日間、私と彼は職場で何事もなかったかのように接し、普通にさよならを言って別れた。

私の胸は張り裂けそうだったけれど……彼の柔らかな笑顔の下はどうだったんだろう。

いつも通り彼はスマートで、なにも感じていないように見えた。

わずかに冷静になった私は、『取締役 専務 千堂柊一朗』という人物が本当に実在するのかネットで調べてみた。

企業のサイトを確認すると、あっさりと同じ名前が見つかり、彼の素性の確証を得る形となった。

本職は経営って、そういうことだったんだ。今さら腑に落ちる。

ではなぜ、『穂積柊一』という名を語って、派遣社員を装っていたのか? その理由までは、どんなに考えてもわからないままだ。

結局、彼についてはほとんどが謎に包まれていて、解き明かす方法もなく、出来る限り考えないように目を背けるしかなかった。


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