こんな恋の話【短編集】
「はい。コーヒーしかなかったから…」
部屋に入ってきた潤クンは、顔こそは笑っているものの、その声には元気がなくて。
「ありがとう…。」
さっき言いたかった言葉は、私の口からは出てこなくて。
すっかり黙り込んでいると、潤クンが息を吸ったのがわかって。
何も言葉がでてこない私は、ただジッと潤クンの言葉を待っていた。
「ねぇ、潤く…
「俺なぁ…」
私が言葉を発した瞬間、潤クンはそれを遮るように突然口を開いた。
「俺、志歩のこと、すげぇ好き…。」
弱々しい声が聞こえてきたと思ったら、後ろからギュッと強く抱き締められていた。
そんな彼に、まわってきた腕をギュッと握ることしか、私にはできなかった。
きつい言葉で突き放すことも。
彼の気持ちに応えることも。
どっちも、できなかった…。