迷惑なんて思ってないよ

何で今なの

屋上の扉が閉まる音を聞きながら、私は声を圧し殺して泣いていた。
友達が出来たと浮かれていた私がバカだったんだ。凛太郎くんにとって私との時間は暇潰しくらいでしかなかったんだ。

「情けないな・・・、私・・・」

母の形見の結婚指輪を握り締め、そのまま額に当てた。私なりのおまじないみたいな物だったんだ。首から下げて身に付けている母の結婚指輪を握り締めたまま額に当てて、周りなど何も気にせずに本音を呟く。そうすれば私が悩んだ時にいつも言ってくれた、“お姉ちゃんなんだから頑張りな”という母の声が聞こえるような気がして。
凛太郎くんをこのまま一人にしたらもう二度と笑わなくなるような気がして、私は立ち上がってすぐに凛太郎くんの後を追った。
後先なんて考えなかった。今はただ、何でも良いから話をしてさっきの言葉を撤回してほしかった。
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