天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース
「お疲れ様でした」
弘子さんに見送られ会社を後にする。


秘書をしてもらっている弘子さんはもうすぐ40歳のシングルマザー。
5年前、神谷支店長の紹介で雇った女性だ。

「子供が小さくて普通の企業ではパートでしか働けないけれど、能力は保証する。どうだろう、君のところで使ってみないか?」
そう紹介された。

まずはアルバイトで使ってみてくれと言われ3ヶ月の約束で秘書についてもらったが、その機転の利く対応と仕事の的確さに、1月もたたずに正社員にした。

まだ小学校に上がる前の子供を抱えていれば急に休むことだってあるし、残業だってそんなにはできない。
それでも、弘子さん以外の秘書は考えられない。


あれ?
不意に、雨が降り出した。

東京は明日から雨だと言っていたけれど、降ってきたかあ。

大阪出張から直接会社に顔を出した俺は当然歩き、傘も持っていない。
困ったな。
少し雨宿りしていくか。

大学の同期がやっているバーまで2ブロック。
走れば濡れずにいけそうだ。
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