天然お嬢様の恋はどこまでもマイペース
「私ね、日本に逃げ帰ったつもりはないの」
「え?」
何だいきなり。

「色々言う人がいるのは覚悟しているわ。でも、いい加減な気持ちで日本に帰って来るわけでもない。心機一転、ナツキとして1から始めるつもり。小さいけど、個人事務を作る用意があるの」
「へー」

「協力してもらえる?」
「えっ」

「ホームページを作りたいし、事務所の経営にも協力して欲しいの。泰介は起業家としては先輩だからね」
「あ、ああ。もちろん、出来ることは何でもする」
夏輝にはそれだけの恩がある。

「でも、彼女は平気?」
悪戯っぽい視線を向けてくる。

「ああ、大丈夫」
「すごい自信ね」
「そんなつもりはないけれど・・・夏輝のことは知ってるんだ」
「話したの?」
「ああ。話の流れでな」
「へー、泰介本気なのね」
「なんだよそれ」
照れくささを隠すように、俺もグラスを空けた。
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