アンバランスな想い
「スーちゃん、お茶しない?」
家に帰ってきた私に
冴子さん(光ちゃんたちのお母さん)が声をかけてくれた

綺麗にセットされている髪が
セレブ感を漂わせていた

「はい、どうぞ」
冴子さんは紅茶とケーキを出してくれた

毎日のように
光ちゃんと瑛ちゃんの家に遊びに行ってたけど

冴子さんがいるだけで
全く別の空間に見えた

少し家具の配置が
かわったのもあるかもしれない

よく見ると
少しずつ
模様替えもしてあった

「男の子二人の生活だから
どんなに荒れてるかと思ってたけれど

マコちゃんのおかげね~
うちの息子たちも
人間らしい生活をしてたわ」

え?

「スーちゃんにも
きっとたくさん
ご迷惑をかけたわね

ごめんなさいね」

「あ、いえ…」

「マコちゃんにもお礼を言っておいてくれる?

スーちゃんの面倒だけでも
大変だろうに
うちの息子たちの食事や弁当の
お世話をしてくれてたんでしょ?

本当に
感謝しても感謝しきれないわ」

冴子さん
勘違いしてるんだ

料理も掃除も洗濯も
全部
私の担当だった

…担当というか
私しかやる人がいなかったから

私がやってた

でも外から見れば
女の年長者であるお姉ちゃんが
すべての家事を
していたように見えるのだろう

高校一年の私が
家事をやるとは…

思わない
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