アンバランスな想い

お迎え

け、け…
携帯がないんですけど…?

「すみれ?
どうしたの?」

順子がカラオケボックスの隣に
座って聞いてきた

しきりに鞄の中を荒らす
私に気がついたようだ

「携帯が…ないんだ」

「え?」

「家を出発したときは
持ってたのは覚えているんだけど」

転んだときに
吹っ飛んだのかな

よく外ポケットに
チャックもせずに入れておくがあるから

転んでバックを
飛ばしたときに
バックから
飛び出たのかもしれない

あとは
瑛ちゃんの車に乗せられた時に
落ちたのかもしれない

どっちにして
携帯がないから

瑛ちゃんにはメールできないや…

困ったな~

約束したのに

「どうする?」

「私の携帯から
テルしてみる?

拾った人が出てくれるかも?」

順子がポケットから
携帯を出してくれた

「あ!
いい、いいよ
大丈夫
今から、帰りながら
探してみるから

それで無かったら
家から携帯に電話してみるよ」

私は歌もそこそこに
一人でカラオケを抜け出した
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