ヴァンパイア†KISS

100年の時を越えて

教会は次第に闇に包まれようとしていた。

隣で語るカルロの横顔をさっきまで照らしていた日の光も消え、彼は薄暗い闇の中わたしを振り返るとその気高い微笑みを見せながら、わたしの頭を撫でた。

「カレン、そんなに泣かないで。お二人は確かに幸福な時を過ごされたのです。ずっとお二人を見てきた私にはわかります」

どう見ても10歳にしか見えないカルロに慰められている19歳のわたしの図は、事情を知らない人が見たら滑稽だろうな、なんて少し可笑しくなった。

「カルロ、あなた何歳だっけ?」

「人間歴は10歳、ヴァンパイア歴はもうすぐ110歳です。合わせて120歳ですが……」

頭を照れくさそうに掻きながら話すカルロが可愛くてわたしは思わず噴出していた。

「ふふっ。カルロが120歳なんて全然見えないよ!」

「ですね。……カレン、やっと笑ってくれましたね?」

カルロはそう言うと、とっておきのヴァンパイアスマイルをわたしにくれた。

「私はエマ様の分身と言ってもいい『カレン』がお生まれになるのをずっと待っていました。ウルフ様によって封印されていたヴァンパイアの血を復活させる100年後のご子孫がお生まれになるその時が、エマ様の復活される時でもあるのではないか、と」

「エマはまだ眠ったままなの…?」

「ええ。この100年ずっと眠られたままなのです。そのお腹に大切なウルフ様とのお子を身ごもったまま」



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