ヴァンパイア†KISS

月と十字架

「………んっ」

デュオはわたしにキスしたまま、満月が輝く透明のガラスにわたしを押し付ける。

彼は唇を離すと、わたしの顔を自分の頭よりも高く上げ、わたしを見上げた。

わたしの体はデュオの胸にぴったりと張り付いて、空に立たされたように足は宙に浮いていた。

デュオは物憂げにわたしを見上げると、下から突き上げるようなキスをした。

「ん……は…ぁん…」

体重の全てを彼にあずけているわたしは、自分の全てを彼に捧げているような不思議な高揚感に満ちていた。

わたしの20歳の誕生日に。

わたしたちを祝福するのは夜空に浮かぶ月だけだというように。

デュオはこの瞬間だけの秘密のキスをした。

―――甘美なこの夜だけの満月に見つめられながら。



その終わりを告げるかのように、35階に着いたというエレベーターの音がチンと鳴り響いた。

それでもデュオはくちづけをやめようとせず、彼の赤い果実を這わせ続けた。

「ん…デュ…オ…あ…」



「へぇ~。これがヴァンパイアキスかぁ…」

………!?

突然、横から可愛らしい声が聞こえて、デュオはわたしから唇を離してその声の主を振り返った。

わたしも同時に振り返ったその時。

「……き、君は……!?」









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