ヴァンパイア†KISS

ヴァンパイアの城

「少しチクっとしますよ」

濃い赤色をしたヴァンパイアの力の源である液体が、細長い筒の中に吸い込まれていく。

この血は、一体どこへいこうとしているんだろう?

決して混ざり合うことのない人間とヴァンパイアの血が、この体の中に生きている。

それは……奇跡なの?

それとも……………。

「はい、終わりましたよ。これだけ血をいただければ、その成分の解析にも充分でしょう」

わたしの腕から採血した医者がその目尻のしわを寄せて微笑んだ。

「私とカレンの血だけで充分か?」

椅子に座っているわたしの隣に立っていたデュオが医者に問いかけた。

「ええ、とりあえずは。デュオさんの血はヴァンパイアの中でもかなり濃い血なのは間違いがないですし、花恋さんの血もまた興味深い。人間とヴァンパイアの血がどのようにバランスを取り合っているのか、ね。医者としても興味がありますよ」

「とにかく、なるべく早い解析を頼む。ウルフを甦らせるために、な」

「ええ、もちろん」

デュオはわたしに手を差し伸べて立たせると、

「行こう。長居は無用だ」

そう言ってわたしの手を握ってドアへと引っ張っていく。

わたしたちは、今日、かずちゃんの家から出ることになっていた。

婚約解消したんだからもちろんそうなるのは当たり前だけど、神藤社長だけはわたしたちを引きとめた。

ヴァンパイアの力が社長の会社の「ガイア」には必要だから、と。

でも、デュオはどうしてもわたしを連れて出ると言ってきかなかった。




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