ヴァンパイア†KISS
コツン、コツンと一歩ずつその場所へ近づいていく。

辺りにはいくつもの扉が散りばめられていて、でもその中からヴァンパイアたちの気配は何も漂ってはこない。

「…誰もいないみたいだ…」

掠れた声でつぶやいてもなお反響する声が、洞窟の中のヴァンパイアの気配の薄さを感じさせる。

「この辺りにはほんとうに誰もいないようだ。ウルフにエマにブルース……そして、ユーゴも…」

不気味だった。

ガイアは確かに100年の封印を解いているのに、誰の気配も感じない。

ガイアの封印を解くにはウルフとエマの血が必要だったはずだ。

それを持っていたのはユーゴと当の本人のウルフとエマだけ。

彼らの中の誰かはここにいるはずだ。

……それとも、みんなに何かがあった…?

「…デュオ!みんなに何かが…!?もしかしてユーゴがウルフたちを…!!」

突然デュオが立ち止まり、一点を見つめるようにバイオレットの瞳を色濃く光らせた。

「デュオ?」

「…ヴァンパイア・キスだよ、カレン。ウルフたちはきっとあそこにいる…!」

デュオの視線を追った先。

大きな黄金色の扉がわたしたちにその黄金色の光を注いでいた。





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