ヴァンパイア†KISS

10日目の夜

理事長のこのお城には、たくさんの部屋やホールが散りばめられていた。

10階から上の狭い螺旋階段を上っていくと展望室も完備されていて、地下室まであるという本格的な作りだった。

なんだか魔女でも出てきそうなんて思いながらサラの後を歩いて今日のパーティが催されるという5階のホールへ向かっていた。

ホールに近づいていくうちに、徐々にワルツのミュージックが聴こえてきて、楽しげな雰囲気に胸が高鳴った。

「カレン、そのドレスすごく似合ってる。サイズもぴったりだし!」

嬉しそうに話すサラは、黒のカクテルドレスを着ていて、お姫様みたいだ。

「今日こそは、彼が見つかるといいわね!頑張るのよ、カレン!」

明るく励ましてくれるサラに笑顔でうなづくと、わたしの目に、大きなホールの中に煌びやかなドレスやタキシードをまとった素敵なレディーや殿方が眩しく飛び込んできた。

「う…わぁ!シンデレラ城の舞踏会みたい!」

金色の色調の彫刻や飾りが散りばめられたホールには、様々な色のドレスが楽しげに動いていた。

「やぁ、カレンさん」

聞き覚えのある声がして振り向くと、そこに立っていたのは、すごく高価だろうと思われるタキシードを着て威厳たっぷりに微笑む理事長だった。

「具合はどうだね?今夜の姿を見ると、心配もなさそうだがね」

「あ、この前はお世話になりました!具合はもう良くなりました。理事長とサラのおかげです!」

「そうか、それなら良かった。今夜は存分に楽しんでくれたまえ」

理事長はダンディーに微笑むと、今夜の来賓と思われる偉い方々が座っているテーブルへと消えていった。

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