君の隣。

毎朝10時。
こっそり病室を抜け出して、彼のいる公園に行った。

そんな行動をを数日間。
ある日、無性に彼と話したくなった。

「隣に座っても、いいですか。」
声をかけてみた。
彼は少し驚いた顔をしてから、
「どうぞ。」
と微笑んだ。
「私は、陽夏と言います。高校2年生です。」
「そう、陽夏。僕はソウ。よろしくね。」
とても澄んだ声。
顔だけでなく声まで綺麗なのかと、少し嫉妬も覚えたけれど。

「陽夏は、どうして僕に話しかけてきたの?何か用事でもあった?」
優しく尋ねてくる。
「私、病院から抜け出してきたんです。少し...息抜きで。良かったら聴いてもらえませんか、私の話。」
自分でも何言ってんだかわからない。ソウと話すのは初めてなのに。それでも何か、吐き出したくて仕方がなかった。嫌だと言われたら近くに川にでも行って叫ぶつもりだった。

するとソウは、ふふ、と短く笑って
「僕は構わないよ。ぜひ、聞かせてください、あなたのこと。」
と私の話を聴いてくれた。

他愛もない会話が毎日のように続いていた。決まった時間、ソウはいつもそこにいた。
その時間がとてもかけがえなくて、
もしかしたら、私はこれを恋にしようとしているのかと直感した。
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