目覚めたら契約花嫁
ロイは本当にいつも通りだ。

何かあったか?

私が聞きたい。


「………何も。」


勇気がでない。

聞いても否定するのは目に見えている。

レストランに入れば、俄かに騒ついているように思う。

その原因に納得した。


「リン、こっち。」


原因である人物から離れた席に誘導するロイ。


「女優のエミリー・ジョーンズじゃない?綺麗だね。」

「さすが女優は綺麗だね。」


聞こえてくる名前………ロイの元彼女で密会の相手。

平然と歩くロイに手を引かれる。

エミリーをこっそりと見れば、視線が合った気がしたが………直ぐに逸らされてしまった。

記者の言葉が現実味を帯びてくる。


『復縁の噂がある』


エミリーがロイに迫れば、いや男なら私よりも彼女を選ぶ筈だ。

促された席はエミリーから死角の席。

ロイへの疑惑が大きくなっていく。
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