目覚めたら契約花嫁
「ロ………。」


ロイを呼ぼうとして止めた。

ロイの話し声が遠くから聞こえてくるからだ。

きっと仕事の話だろうと思い、静かにロイへと近づいていく。


「後で行く。部屋番号は?」


足が止まった。

部屋番号?

どういう事?


「1105だな。わかった。」


1105?

誰?


「チッ、リンが寝てからだな。」


ロイの聞いたことのない低い声にビクリと肩が揺れた。

ロイの雰囲気が怖い。

ロイに気付かれたくなくて、再びシャワーのある洗面所へと戻った。

大きな鏡を見つめる。


「どういう事?同じホテルに誰か泊まってる?」


鏡に映るオッドアイの瞳を見つめる。

この旅行は全部ロイに任せてある。

もしかして誰かと待ち合わせてる?

そんな疑惑が湧いた。
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