トモダチ地獄~狂気の仲良しごっこ~

梶崎彩乃side

梶崎彩乃サイド

【昨日、21時頃●●市●●のホテルの浴室内で男女二人が倒れているとホテルの従業員から110番通報がありました。警察の調べでは男性は五十代、女性は十代の少女とみられ、浴室内には練炭が炊かれていた形跡があるということで現在身元の確認を急いでいます。安否など詳しい情報が入り次第、お伝えいたします】

昨日の練習の疲れで早々に寝落ちしてしまった。

電源の切れたままになっていたスマホをモバイルバッテリーにつなぎ直し、バッグに押し込む。

あたしは毎朝学校へ行く前に見る朝のニュースを聞き流して学校へ向かう準備を始めた。

「は……。アイツら、マジ何やってんの」

学校へ着き、体育館に入った瞬間妙な違和感を感じた。

先にやってきた後輩たちは準備をせずにコートの真ん中で輪になりなにやら話し合っている。

その中にはあたし以外の2、3年生もいた。

チッ。心の中で舌打ちをして輪に足を進める。

練習時間は限られている。一分一秒だって他の学校より多く練習しなければライバル校に勝てるはずがない。

気持ちがないから負けるのだ。

いくらあたしがいたって全部のプレーをあたしだけですることはできない。

バレーはチームプレーあってこそ成り立つ。

でも、このチームに技術のある人はあたししかいない。

正直、周りは出来損ないだ。バレーの名門だからという理由で入学したのにこれじゃ詐欺だ。

酷いミス、手抜きのプレー、脆弱な精神。

勝てるはずがない。

「ねぇ、練習は?」

3年の先輩もいたため必死に怒りを押しとどめてそう尋ねると、一人が真っ青な顔でこう言った。

「エレナちゃんだって」

「何が?」

「だから、昨日のホテルの事件に巻き込まれたのエレナちゃんだって。彩乃と仲良しの!今、先生たちが緊急の職員会議開いてる」

その言葉がようやく理解できた瞬間、あたしの口から出たのは「嘘でしょ……」という弱々しい声だけだった。

エレナが巻き込まれた?ホテル……?あぁ、そうだ。確かに今朝ニュースでやっていた。

どんな内容だったっけ……?

あたしは輪の中から抜けて体育館の隅に置いておいた部活用のエナメルバッグに駆け寄った。

急いでスマホを取り出し電源をオンにしてニュースを確認する。

まさか。エレナが……?どうして事件なんかに巻き込まれたの……?

顔が引きつる。

そのとき、ふと一通のメッセージが届いていることに気が付いた。

「なに……?」

エレナからだった。

心臓がドクンドクンッと嫌な音を立てて鳴り始める。

あたしは昨日の夜、エレナを責め立てるメッセージを送った。

そのメッセージの返信だろうか?

画面をタップすると、そこにはある文字が現れた。
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