【完】俺の隣にいてほしい。
だけど、そんなふうに浮かれていたのもつかの間、つい先日行われた中間テストの結果が発表されて、私はガクッと肩を落とした。


たしかにあまり手ごたえがなかったのは確かだけれど、去年に比べてだいぶ総合順位が落ちてしまったのだ。


特に数学と英語は点数がかなり下がって平均点を下回ってしまい、これはヤバいかもと思っていたら、案の定お母さんに説教された。


「ちょっと、何なのこの順位は。数学と英語もすごく点が下がってるし、こんなのじゃいい大学に行けなくなるわよ。ちゃんと真面目に勉強したの?」


「べ、勉強は、したよ。でも、数学とか急に難しくなったから……」


お母さんはべつにそこまで厳しい親というわけじゃないんだけど、成績に関してはかなり口うるさい。


実は私には拓真という名前の3つ上の大学生のお兄ちゃんがいて、今は一人暮らしだから家を出てるけど、お兄ちゃんが有名難関大学に進学したものだから、私にもそこそこいい大学に行ってほしいみたいで。成績が下がると怒られるんだ。


「難しくなったのはわかるけど、いつも平均点は取れてたじゃない。これはいくらなんでも点数下がりすぎよ。最近帰りも遅いし、放課後寄り道ばかりしてるからなんじゃないの?」


その言葉にギクッとする。


「い、いや、そんなことは……」


確かに最近放課後寄り道ばかりしてたことは確かだけど、そのせいで成績が下がったと思われたら嫌だな……。


するとお母さんが何か考え込んだような顔をしたあと、大きくため息をついて。


「……はぁ。もう、こうなったら心音も塾に通うしかないわね。拓真も通ってた桜田駅の桜栄進学塾、あそこに通いなさい」


「えぇっ、ウソッ!」



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