【完】俺の隣にいてほしい。
込み上げてくる想いを言葉にしたら、声が震える。同時に目に涙が浮かんできて。


そんな私を見て、椿くんが少し戸惑ったような声をあげる。


「……心音?」


私は彼をまっすぐ見上げ、ハッキリと口にした。


「好き」


その瞬間、目からぽろっと一筋の涙がこぼれ落ちる。


「私、椿くんが好きなの……。会えなくなってからもずっと、椿くんのことばっかり考えてた」


「……っ」


再びギョッとしたように目を丸くする椿くん。


「椿くんと一緒にいられなくなって、毎日すごく寂しくて、苦しくて。どうしていいのかわからなかった。だからせめて、ちゃんと気持ちだけでも伝えようと思って」


さっきまであんなに緊張していたはずなのに、なぜだか次から次へと言葉が出てくる。想いを一度口に出してしまったらもう、止まらなかった。


「椿くんに、私はふさわしくないかもしれないけど、一緒にいたいの……っ」


おそるおそる、彼の目を見て問いかける。


「私じゃ、ダメですか……?」



< 289 / 311 >

この作品をシェア

pagetop