桜咲く季節がめぐる瞬間(とき)
「めぐるくん、大丈夫?」
「うん。少し苦手な先輩だったから、ちょっと、ね」
「そっか。なんかごめん」
「どうして咲月が謝るの?」
「私がこんな格好だから……あの先輩、誤解してた」
「安心して。あとでちゃんと誤解といておくし…」
「……うん、ありがと」

咲月はふっと笑って目をそらした。

「ねぇ、めぐるくん」

彼女が目をそらして口を開く時は、答えにくい質問をしてくる証拠。

「私たちって……“ただの”友達なの?」

ほら、また……

咲月は僕のこと、どう思ってるんだろう?

「僕はね、咲月のことを“トクベツ”って思ってるよ。だから、友達なんかじゃない。もっと…」

言い終わらないうちに料理が運ばれてきた。
タイミングがいいのか悪いのか。

まあ、いっか。
焦らなくても、大丈夫。

「めぐるくん、続き…」
「この続きはまた後で。今は食べよう?」
「うん!」
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