Love EaterⅡ



それを六花が見逃すはずもなく、寧ろニヤつきながら指摘してきた事には近くにあった羊を投げつけるなんて子供染みた反撃しか出来ず。

ぶつけられた六花も何も堪えた様子もなく、羊を抱き直しながらクスクスと含み笑いで見つめてくる。

最早勝敗など目に見えて。

だからこそソルトに出来るのは、

「それよりっ、この大量の羊!どうにかしろよ!」

「フフッ、はーい」

こんな風に下手くそに逃げるの一手ばかり。

もはやどちらが優位に振り回しているのやら。

六花も特別深追いはせず、言われたまま素直に大量の羊を消し始める。

そんな、六花を横目にソルトはソルトで深い息を吐き意識を平常に戻し始めていた最中、不意に響いてきたのは携帯のバイブ音。

取り出してみれば着信表示は噂をすればの“百夜”となっているのだ。

それには今程の嫉妬も微々たる再燃を見せ。

不愉快の勢いで応答し耳に当てると、向こうが何かを発するより早く、

「おいっ、最高魔導士様よ。魔女の特効薬が効かねえんですけどぉ?怠惰なのは性格までにしといてくれませんかねぇ?へっぽこ大魔導士さま」

嫉妬からの八つ当たり全開。

ソルト自身単なるみっともない八つ当たりだと理解して尚の嫌味であって、勿論それに対して嫌味で切り返される事も承知の上。

……だったのだが。

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