Love EaterⅡ



何という大失態パート2。

そんなワードがソルトの脳内に犇めいて、何をどう切り返そうかと考えれば考える程沈黙の間が続いてしまう。

だって、……だってなんでまた時雨様が!?

えっ?だって表示は百夜じゃん!!

百夜の携帯からの着信じゃん!!

そりゃあ百夜からの連絡だと思うじゃん!!

だからいつもの調子で嫌味言っちゃうじゃん!!

なのに……なんで時雨様よ!?

と、延々とこんなボヤキばかりが浮かんで打開策が見当たらないときているのだ。

そんなソルトの沈黙の葛藤なんて電話の向こうでは知る由もなく、

『リッカくん?』

「っ……あ……あー、あー…っと、あっ!!そうだ、時雨さま!!抑制薬!!そうっ!あの時雨様がくれた抑制薬全く効果なかったんですけど!?ってか、寧ろなんか無茶苦茶頭も体も逆上せ上がって理性飛んだ気がするんですけど!?」

『抑制薬…』

良い誤魔化し材料があったじゃないかとばかり。

咄嗟に沸いた話題の割に実に丁度いい。

都合の悪い話題への突っ込みを『そんな事より』という感じに横に退けて、貰った薬の効果の不具合に物申して誤魔化したのだ。

勿論、貰った物に対して不満など言うつもりはなかったソルトであって。

誤魔化す為とはいえこんなクレーマーのような事を言ってしまった罪悪感にチクチクと胸は痛んでいるのだ。

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