Love EaterⅡ



「すみませんねえ。相談に乗るなんて言って乗れるほどの恋の経験者じゃないんですよ僕は、」

「いえ、そんな。寧ろ物凄く…身に染みたって言うか」

「そうですか?百夜殿の方がもっとざっくばらん明け透けに相談もしやすかったのでは?」

「いえいえ、あいつも別にこれと言って的確な結論をくれるわけじゃないし。どっちかって言うと俺を弄って楽しんでるっていうか」

「まあ、百夜殿ですからね。彼こそ恋なんて俗情からは縁遠く感じますし」

いや、あいつ好きな女いたらしいですよ。

とは、流石に言えなかったのは相手が不確かで更には魔女かもしれないなんて事情があったからだ。

過去の事とは言え魔混じりの百夜が魔女に惚れてもしかしたら恋人同士であったかもしれないなんて話は悪戯に語るべきではないだろう。

流石にそんな自己判断を下すと『ですよねぇ』と時雨の言葉に同調を響かせて流すのだ。

「ああ、そうだ。碌な助言は出来ませんでしたが、代わりにこれを……」

「えっ?」

「抑制も限界だと感じるような時にでも服用してみてください」

そんな言葉と一緒に差し出されたのはカプセル状の服用薬だ。

時雨も一応政府お抱えの魔導士で研究者だ。

つまりは渡された薬も決して違法な薬物ではなくそれなりの実験も成果も得ての物なのだろう。
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