虹色シンデレラ
「わかりました。これから気を付けます」

「本当だな?」

「ええ。ちゃんと哲翔さんを見習って、会いたい時は外で会います。これでいいんでしょ」

吐き捨てるように言ってしまった。

あんまり腹が立って、黙っていられなかった。


しかし、


ドンッ。

壁を打ち付ける大きな音。


哲翔さんが私の耳元の壁を殴った。


「本気で言っているのか?」

怖さよりも、その悲しそうな顔が先に目に入ってきた。


「馬鹿ね、冗談よ。私と祐介くんはただの友達。咲良さんとは違うわ」


「・・・・」

哲翔さんの悔しそうな顔。


自分でもなんでこんな意地悪なことを口にしたのかわからない。

口に出してしまえば、哲翔さんも私も苦しくなるだけなのに。

それでも、今の私にはストップが効かなかった。



しばらくして、ドタドタと近づく足音。

物音を聞きつけて、菅原さんが出てきた。


マズイ。

咄嗟にそう思ったけれど、哲翔さんは動こうとはしない。
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