虹色シンデレラ
「何でもきちんとしたがる哲翔が、こんなタイミングでムードもなくプロポーズするからには、何か事情があるんでしょ?」
「・・・」
図星過ぎて言葉が続かない。

「言いなさいよ。聞かないと答えられないわ」
さすが、咲良は手強い。


「許嫁がいるんだってさ。曾じいさんの遺言だとかで、簡単には断れない」
「それを断るために私と?」
「もちろんそればかりじゃないよ。誰でもいい訳でもない。今回の話しがなくても、いつか結婚するなら咲良しか考えられないと思ってきた」
「ふーん」
「嘘じゃない。本当だよ」
「そう。分かったわ」

とは言っても、プロポーズの返事はしない咲良。
< 33 / 579 >

この作品をシェア

pagetop