君は僕のもの 【続】
瞬間、ここの空気が凍った。
…マズイよ、マズイ!!!
さっきもその話が原因で痛い目にあったのに、それでやっと…まともな会話を出来る様になったっていうのに。
それに…
それに樹がそんなことを言うのは、100倍マズイデショ!!!
とあたしの頭の中はパニック状態に陥る訳で。
「……は?」
案の定。
急に顔つきが変わったのは白井くんで。
それに対して樹の表情は何一つと変わらず、まるで面白がってるみたいな感じもした。
「自分の私情をコイツに重ねないでよ」
そう言うとあたしの頭の上にポンッと手を置いた。
あたしはただその頭に置かれた樹の大きな手に勝手にドキドキしたりしてて、…チャッカリだな。なんて思ったり。
「……っ」
ギリッと歯を噛締める様に苛立った様子を全面的に滲み出す白井くん。
特徴的な八重歯がその怒りを象徴してる感じも、する。
「理由なんて関係無いでしょ?
アンタはただ逃げただけ、…アンタの“本気”ってそんなもん?」
…あれ?
最初はただ地雷を踏んだ様に皮肉をいつも通りに言ってるのかと思ってたけど、
何だか今の樹は言い方は良くないけど。
『どうして頑張らなかったのか』
『好きなら諦めるな』
そう言ってるように感じる、のは…あたしだけなのかな?
心配な気持ちと微かな期待を胸に樹の顔をあたしは見上げた。