君は僕のもの 【続】




でもそんな樹からもっと顔を背けると、あたしは更にギュッと唇を噛締めた。


「今日は頑固だね」

と相変わらず樹は困る様子も無くただクスクスと微笑。


こんな時、樹は同世代の男の子と比べて大人だし冷静だな…って思う。

きっとあたしと幼馴染じゃなかったら間違いなく出逢う筈も無かっただろうし、出逢っても…接点なんて一つも無く終わったんじゃないかな、


そう思うと更に哀しくなる。


やっぱりあたしじゃ…似合わないのかもしれない。


「嫉妬?」

「……、」

低く妙に大人気な樹の声があたしの耳に入る。


瞬間、ビクッと反応してしちゃう。

その“嫉妬”という醜い言葉こそが今のあたしの本当の感情だったのかもしれない。



嫉妬心とか劣等感。
そういうものがあたしの中を今支配してるのかも、


「分かりやすいね…愛梨は本当に」

と言いながら樹の手があたしの頭を撫でる。


でも、

「……だ、やだ!!」

バシッとその樹の手を振り払うとあたしはベッドの上で後ずさる様にして後ろにズルズルと下がっていく。


さすがの樹もこんなあたしの行動と声に驚いた表情をする。


自分でも…どうしてこんなことを言ったのか分からない。

けど少なくとも、


その香水の匂いがあたしの気持ちをぐちゃぐちゃにしたの。


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