相思相愛ですがなにか?

「うわああ!!」

翌朝、私は伊織さんの叫び声で目を覚ました。

「なあに……」

目をこすりながら体を起こすと、伊織さんびっくり仰天という表情でカウチソファから転げ落ちそうになっていた。

「月子ちゃん?何で!?」

「伊織さんが寝ていたから……つい一緒に寝ちゃった……」

カウチソファの上で寝ていたこともあり身体の節々が痛かったが、心は満足感があった。

「な、なんで俺のシャツがはだけて……」

「だって、寝苦しそうだったから緩めてあげたの」

無邪気を装ってそう言えば、伊織さんが怒るに怒れなくなるのは分かっていた。

……嘘も方便である。

伊織さんは冷静さを取り戻すとコホンと咳払いして私を諭した。

「月子ちゃんはこんなところで寝ないで、ベッドで寝ること」

「なぜ?」

伊織さんが私とベッドで寝たくないと主張するつもりなら、こちらだってやりたいようにやる。

「伊織さんがベッドで寝ないなら、私もベッドで寝ません」

断固とした口調で抵抗すると今度は昨夜のように伊織さんに抱きついて、うふふと戯れに嘯く。

「また一緒にくっついて寝ましょうね?」

「わかったよ……。わかったから!!離れてくれ!!」

伊織さんはそう言って、ネグリジェ姿の私を引きはがしたのだった。

こうして私は見事、伊織さんとベッドで寝る権利を勝ち取ったのだった。

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