相思相愛ですがなにか?
16.我慢の限界

「専務、頼まれていた報告書です」

「ありがとう」

俺は片山くんから報告書を受け取ると早速デスクの上に広げ、頬杖をつきながら熟読する。

片山くんには調べるようにお願いしていたのは、月子ちゃんに伴われてやってきたアスキム王子の身辺に関してだ。

アスキム王子が帰ってから、調べるように依頼したのに、きっかり2時間後には報告書としてまとめられているのを見ると、俺はつくづく部下に恵まれていると痛感する。

日本から遥か8000キロ離れたカリウス王国の王子について、調べられることはそう多くはないはずだが、王族にしては国外への露出の多いアスキム王子については比較的多くを知ることが出来た。

アスキム・サラーム・カリウス。カリウス王国の第4王子。現カリウス王の王子の中では最も若い30歳。

15歳までは本国の王宮で育ったものの、その後は知見を広めると称してイギリスへと渡り、経済学の博士号を取得、大学卒業後は数年間の外遊を経て、カリウスへと帰国を果たす。

第4王子にしておくには大変優秀で、現国王、そして王太子を支える屋台骨として王室にとってはなくてはならない存在である。

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