極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

貴行には、負担だろうから無理する必要はないと言われたけれど、社長を支える妻としてできる限りのことはしたい。

二日に一度やって来る家事代行の清掃サービスも、本当なら遠慮したいところ。とはいえ、この豪邸の掃除をひとりで徹底してできるか、と聞かれたら自信をもてないのは胸が痛い点だ。


「そんな格好でいたら風邪ひくぞ」
「え? あ、はい」
「じゃ」


貴行はさらりと陽奈子の髪を撫で、顔色ひとつ変えずに寝室を出ていった。

(風邪ひくって、それだけ……?)

閉まったドアを見つめて呆然とする。

こんな格好の陽奈子を見ても、貴行はなにも感じないらしい。
少しはドキッとさせられるのではないか。陽奈子のサインを感じ取ってくれるのではないか。
そう考えたのはお門違いだった。

最初に陽奈子を凝視して目が点になったのは、ギョッとしたためだろう。

(うわぁ……どうしよう。やっぱり頭がおかしいって思われたかもしれない)

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