極上御曹司は契約妻が愛おしくてたまらない

「おはようございます」
「陽奈子ちゃん、久しぶりね!」


元気よく声をかけてきたのは、小暮早紀(こぐれ さき)だ。

陽奈子よりふたつ年上の二十七歳で、この店で働くようになって二年になるらしく、陽奈子の教育係でもある。
身長は百六十センチの陽奈子と大差がないけれど、華奢なため小柄に見える。自然な栗色のショートカットが快活な印象で、くりっとした大きな目がチャームポイント。

とてもかわいらしい顔立ちをしているうえ明るく朗らかなため、お客の評判もとてもいい。男性客からは何度となく告白された経験もあるらしい。

本人は否定するけれど、仕草や立ち居振る舞いにどことなくいいところのお嬢様のような印象がある。


「早紀さん、お久しぶりです。お元気でしたか?」
「十日間も休みだったから暇を持て余しちゃって」
「彼はどうしたんですか?」


早紀と同じ歳の彼氏は、近くのビルで働くビジネスマンだ。『ツキシマ海運』という日本でも有数の一流企業で営業をしているエリートだと聞いている。

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