愛を捧ぐフール【完】
 バレなければいいと思った。だから今世のラウル達みたいな者を遣わせて、こっそりと探していた。エレオノラか僕の髪か瞳の色を引く赤子を。


 顔はそこまで似てなくても大丈夫だろう。両親の色と大幅に違ってさえいなければ、何とかなる。


 幸い、エレオノラは病気をしてからあまり公務に出なくなったので、表に出ていない間に妊娠して出産したとすれば疑惑は薄れるはずだ。勿論、エレオノラの周りには信用できる侍女しか置かない。


 誰もが止めるであろう計画を、王家の血筋を途絶えさせる計画を、僕は立てたんだ。


 この時既に、僕は狂っていたんだろう。


 でも、僕とエレオノラが持つ色は高貴な血筋に多く、中々その色をした赤子は見つからなかった。特にしがらみの少ない孤児なんか、もっと見つからない。


 そうこうしているうちにペルディッカスが隣国の王女との縁談を持ってきてしまったので、僕の赤子を連れてくる計画は断念せざるを得なくなった。


 国王としては正しい道だ。分かりきっている。隣国の王女との間に世継ぎを成せば、この先の次代から隣国との関係もいい方向に行く可能性が高まる。


 エレオノラもそれは分かっていた筈だ。
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