愛を捧ぐフール【完】
「そうだな。婚約者殿の方ははじめまして、第二王子のアルフィオだ」

「クラリーチェ・レオーネと申します。よろしくお願いします」

「兄上とセウェルス伯爵の話が聞こえてきてな。社交界の方ははじめてか。なら今回のパーティの主催者の息子のサヴェリオの事も紹介しよう。……サヴェリオ?」


 アルフィオ殿下につられてそちらの方へと目線を向けて、息を呑んだ。
 滅多に外に出ない私は今までファウスト様しか知らなかったし、あまり興味がなかったと言っていい。


 ーーまさか、この時代に転生した人が私達以外にもいたなんて。


 その人も私に気付いたのか碧眼を大きく見開いて私を見る。襟足の長い黒髪を項で小さく1つに縛った姿の美青年は、前世とは外見は全く違う。


 それでも、分かった。
 だって、前世はクリストフォロス様の親友で私の大事なただ1人の血の繋がったフォティオスお兄様だったから。
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