愛を捧ぐフール【完】
エピローグ
「見て見てー!クリストフォロス様!エレオノラ様!近くの農家の人のお手伝いしてきたら野菜もらったよ!」


 泥のついたままの頬を緩めながら、ファウスト様とそっくりな顔のシストは無邪気に貰った野菜を見せてくる。


「とても美味しそうだね。立派な野菜だ」

「ええ。新鮮ですし、そのまま食べても美味しそうだわ」


 初めて会った時はファウスト様そっくりでびっくりした。今はシストの方が若干身長が高くなって大人びてきて、顔立ちが変わってきてしまっている。ファウスト様よりもほんの少し暗い金髪だと思っていたのは、地毛が黒だったかららしい。


 私が囚われている間に起きた反乱では、終戦間際に戦場のどさくさに紛れて第一王子ファウストは死んだ事になった。


 私を迎えに来たファウスト様によると、シストと共に折を見て行方不明になる予定だったそう。


 怪我して医者とファウスト様と3人きりになった方が医者と数少ない護衛を気絶させるだけで、脱出する手間が掛からないし、長い間医者が診ていると周囲が思ってくれるので時間稼ぎにもなると。
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