愛を捧ぐフール【完】
 王様の意を受けて、魔女は〝呪い返し〟という呪った相手に呪いを返す儀式を行いました。
 するとみるみるうちに、王妃様は回復なさって流行病に掛かる前までの身体を取り戻されたのです。


 それと反対に苦しんだのは、王様に側室を勧めた貴族達とホノリスの王女様でした。
 特にホノリスの王女様の苦しみ方は尋常ではなく、寝台に臥せったままうわ言をおっしゃいました。


 王様に愛されたかったのだと。隣に立ちたかったのだと。
 子供を産めば、自分を見てくれるのではないかと。
 子供が出来なかったので、王様とよく似た人と不義を交わしたのだということを。


 これを聞いた王様は大層お怒りになりました。
 ホノリスの王女様を幽閉し、後宮全ての側室を下げ渡しました。


 そうして、生涯ただ1人王妃様だけを愛し、王妃様との間に出来た沢山の子供達に囲まれて幸せに暮らしたそうです。
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