アイスクリームと雪景色
(さあ、どうしてくれようかしら)

美帆は胸のうちで指を鳴らした。

こんなにも“やる気”になったのはいつ以来だろう。初めて企画が通り、新製品の開発を任された新人時代のような高揚感。

人を育てるのは、それと似ているのかもしれない。とても困難で、やりがいのある仕事。だからこそ、この足で駆け上がって来たのだ。

(私は教育係)

自分に念を押すと、両手をデスクについて前のめりになり、第一声を浴びせようとした。

だが、その瞬間を待っていたかのように、くるりと椅子が回転する。

「……!?」

美帆は固まり、言葉を丸ごと呑み込んだ。

足を組み、背もたれにゆったりと身体を預けている。

本物の会長だったのかと勘違いするほど、余裕に満ちた姿だ。

暗くて表情が分からないが、笑っているように感じる。
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