アイスクリームと雪景色
「広報部には関係のない場所ですよ」

答えたのは里村だった。

ルナを見下ろし、はっきり、きっぱりと言い切った。

関係のない場所――

声に抑揚がなく、およそ里村らしくない冷淡な言い方だった。ルナはその場に凍り付き、秘書課の女達も目をみはっている。

「行きましょう、成田さん」

「え、あ……」

そっと背中に置かれた、大きな手。
 
あなたには関係ない――

里村は美帆を守り、ルナを突き放したのだ。


美帆はどきどきする胸を押さえつつ、里村とともにエレベーターを離れた。

足早に進むふたつの影は寄り添っている。

この動悸には覚えがある。

里村に初めて告白された雪の夜、感じたときめきと同じだった。
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