アイスクリームと雪景色
「いらっしゃいませ、ようこそ“ルナ・リェナ”へ」

スタンドカラーの白シャツに黒のパンツ姿の店員が迎えに出てくると、里村が先に立ってやり取りした。

美帆は自分が奢るつもりなのに段取りしてもらって変な心地だが、彼としては『男のジョーシキ』なのかもしれない。とりあえず任せることにする。

「どこの席にしますか」

里村に訊かれて、フロアを見渡した。店の中央にコの字型のカウンターがあり、その内側に調理人が立ち、大きな鉄板で料理をこしらえている。

カウンターは満席だが、窓際のテーブルは空いている。焼きたてをいただくのも良いが、今日は少し疲れ気味なので、ゆったりと食事がしたい。

「テーブル席にしましょう」

「了解です!」

美帆も里村もコートを脱ぐと、四人掛けのテーブル席に着いた。窓の外は、まだ雪が降り続いている。

「ここはバルレストランですから、お酒の種類が豊富ですよ。先輩は何にしますか」

慣れた手つきでメニューを開く里村に、美帆はさっきから気になっていることを訊いた。
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