強引上司に絆されました
モカちゃんは、溜息を吐くとぼんやりと言った。

「実は、私・・・東海林課長が男の人が、苦手だったんです」

「そうなの?卒無く対応してるように見えるけど」

「桜葉部長のお友達なので、何度か食事や飲みに一緒になって・・・イメージが変わったんですよ。言葉遣いは乱暴だし、声も大きいですけど。言葉一つとっても、キチンと考えてチョイスしてるし、言いたい事が言えるまで待ってくれてたりするんです」

「うん」

「そういうところ、ちょっと穂花さんに似てるなって。えへへ・・・」

「私と?」

「はい。私一人っ子で・・・兄のような存在に桜葉部長が居たけど、お姉さんも欲しかったので。花菜美ちゃんが羨ましかった」

「そうなんだ・・・」

「高校生の時に花菜美ちゃん家に行くと、穂花さんに勉強を教えて貰って凄く嬉しかったんです。お姉さんが出来たみたいで」

「私はモカちゃんも、大事な妹と思ってるわよ」

「ありがとうございます。穂花さんキレイで優しいから、大好きです」

頬をピンクに染めて、可愛らしい笑顔でハグされた。
ホントにカワイイ。

「だから、東海林課長とお似合いなんだなって思います」

「えっ?課長と私が?」

「お二人で打ち合わせに向かってる時とか、きっと二人は付き合ってるんだって噂してますよ」

ちょっと待て、初耳だよ。
ひょっとして・・・私が男性から誘われないのって、この辺に原因があるのではないだろうか?

「付き合ってないから。どこから湧いたのその噂・・・」

「そうなんですか?花菜美ちゃんも、そう思ってますよ?」

妹よ、お前もか・・・。

「東海林課長とは、お付き合いしていないって言っときますね」

ん、誰に?

「私、そろそろ戻ります。穂花さん近いうちにご飯食べに行きましょうね」

語尾にハートマークが付いてそうに言い残して、モカちゃんは行ってしまった。
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