【シナリオ版】釣った夫は腐ってました!~鈴ノ木夫妻の新婚事情~
16話 仮面夫婦からの卒業
〇新居のマンション、昼。
華は大きな窓に真新しい白いカーテンをとりつけていた。
作業を終えて、リビングルームの真ん中から部屋を見渡す。

華「は~。広いリビング、ウォークインクローゼット、ミストサウナつきの
お風呂。こんな素敵なマンションの住める日がくるなんて……」
華は幸せをかみしめた。が、次の瞬間、はっと顔を青くする。
光一「どうした?」
段ボールの整理をしていた光一が手を止め、華に目を向ける。
華「お、思い出しちゃった。同じように幸せの絶頂から叩き落された結婚式の夜のこと」 

華(やっぱりこれも夢だったりして?明日、目が覚めたら男友達すらいない崖っぷち受付嬢に戻ってる気がする……)

華「うぅ、簿記の資格でも取ろうかな。経理部なら常に人手不足って課長言ってたし、受付クビになっても働かせてくれるかも……」

相変わらず想像力のたくましい華を横目に、光一は複雑な心境だ。

光一(妙なトラウマ与えちゃったみたいだな……)

光一は華の正面に立つと、華の両手をぎゅっと握った。

華「へ?握手?」
光一「結婚式の誓い、正直、なんの気持ちもこめてなかったから。改めてさ、知らない外人なんかじゃなくて、華に誓うよ」
光一はまっすぐに華を見つめた。
光一「結婚するのに丁度よさそうな相手。そう思ってたのは事実だし、いまさら否定はしない。軽く扱うようなマネして本当に悪かった」
光一は目を伏せ、頭を下げた。
華はかえってあわててしまった。
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