【シナリオ版】釣った夫は腐ってました!~鈴ノ木夫妻の新婚事情~
片手にリモコン、片手に缶ビール。大きなソファベッドに寝そべりながら、テレビを見ているようだ。
家デートも何度かしたことはあったけれど、こんなにくつろいだ(はっきりと言えば、ぐうたらな)彼の姿を見るのは初めてだった。

華(そうか、これが彼の素の姿なのか……。うちのダメ親父と同じようなことをしてても、イケメンだとさまになるのね)

光一「あぁ、おかえり」
華の気配に気がついたのか、光一がビールを持った片手をあげてこちらを向いた。
華「あ。ただいま」
光一「飯は食ってきたの?」
華「えっ‥‥夕飯はまだだけど」
光一「鍋にカレーあるよ。よかったら、どうぞ」

なんでもソツなくこなす彼は当然料理も上手だ。盛り付けなんかのセンスもいい。カフェでもひらけば、イケメンオーナーの店として繁盛するに違いない。
華(って、そんなことはどうでもよくて‥‥なんで、この人こんなに普通なわけ⁉︎ 被告人席に座る覚悟で帰宅した私との温度差はいったいなに?)

それとも、このあいだのアレはやっぱりドッキリだったとか‥‥。華の頭の中は疑問符でいっぱいだ。そんな状況でも、悲しいことにお腹は減る。スパイスたっぷりのカレーの匂いの誘惑に負け、私はキッチンへと向かった。
コンロに火をかけ、カレーが温まるのを待つ。

光一「華さぁ‥‥」
華「ぎゃっ!!」
いつの間にか真横に立っていた光一に声をかけられ、思わず叫び声をあげてしまった。
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