【シナリオ版】釣った夫は腐ってました!~鈴ノ木夫妻の新婚事情~
新庄「とにかくさ、そういうところは直したほうがいいと思うよ。天下の花園商事の受付嬢なんだから」
ようやく不愉快な話の終わりが見えてきたことに、華はほっと息をついた。

華「この度は誠に申し訳ございませんでした。いただいた貴重なご意見は他の従業員にも必ず伝えます。今後、新庄様が不愉快な思いをすることのないよう……」
クレーム対応ではお決まりの謝罪の言葉を口にしている最中、新庄がいきなり華の手をつかんだ。じっとりと汗ばんだ感触が不快で、華は思わず「ひっ」と小さな悲鳴をあげてしまった。

新庄「誤解しないで欲しいのは、僕は君のことは評価しているんだよ。他の子たちみたいにけばけばしくないし、男に色目をつかったりもしていないようだし」
新庄は華の手をぎゅっと握りしめ、あろうことか恋人つなぎのように指を絡めてくる。
クレーム男が突然、セクハラ男に豹変したのだ。どちらも面倒なことにかわりはないが、後者はより厄介だ。こちらがあまり強く出ると、自意識過剰だの名誉棄損だのとわめきたててくるからだ。
できれば穏便に済ませたいが、どうしたものかと華が思案していると、
思いがけないところから助けが入った。

華「あ……」
華と新庄の間に割って入ったのは、光一だった。




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