ありがとう。

高校2年の秋、私は17年の人生の中で最大の失恋をした。

付き合っていた彼氏は同い年の男子高校生。
彼氏とは3ヶ月付き合ったが、他のカップルのようにしょっちゅう会えたわけではなかった。
その彼とは遠距離で中々会えなかったが月に一度会いに来てくれていた。
そんな彼からいきなり



別れよう



といきなり連絡がきた。
彼も私も連絡はまめな方では無かったので、返せる時に返すというような感じだった。

私はいきなりのメールの内容に驚き

"なんで?"

と返したが返信はなく、電話も着拒どうしていいのかわからなかった。
悲しみのあまり毎晩泣いていた。

「夏美、大丈夫?」

「もうどうしていいのかわかんない。
何がいけなかったのかな。
私悪い事しちゃったかな。」

中学からの親友の瑞季が声を掛けてくれた。
瑞季とは別々の高校に進んだが定期的に会っている。
お互いどちらか一方が落ち込んでる時は毎日私たちの家の最寄駅で待ち合わせをして、駅から近い私の家で話を聞いてくれる。

「夏美は何もしてないよ。
大丈夫、次があるよ。
男はそいつだけじゃないんだから。
でも今は気が済むまで泣いたらいいよ。」

ちょっとドライな瑞季の言葉が私の中でじんわりと広がっていく。

その日から3日間私は毎晩一晩中泣いていた。
高校の友達も私の様子がおかしいので心配し、励ましてくれていた。

「夏美、今日はカラオケ行かない?
大声で歌えばすっきりするよ!
行こうよ。」

「あんまり辛いなら次の授業サボる?」

「今日合コンがあるんだけと行かない?」

そんな皆んなの励ましがあったが、私は立ち直れなくて5カ月が過ぎた。

ある日以前からやっていたSNSを見ていると

"良かったら仲良くしてください♡"

という書き込みがあった。
私は誰だろうと思い見てみると全く知らない男性からだった。

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名前は和磨。23歳で年上の人だ。
私はなんとなく返信した。

"こちらこそ仲良くしてください"

別に興味が湧いたとかそんなのではなく、ただなんとなく返信しただけだった。

すると、

"よかったらメアド交換しない?"

当時まだガラケーだったので、LINEではなくメアドを交換していた。

まぁ別にいいかと私は思い互いのメアドを交換し、連絡を取った。
すると交換した初日、

"メアドありがとう!
今暇?
暇だったら電話しない?"

といった内容がきた。

その時の私はまだ失恋を引きずっていたが、少しずつではあるが前向きに考えようと、立ち直ろうとしていた。
ただ何かしていないとよぎってしまうので、気がそれるようなことをしたいと思っていた。
だから、私はその彼と電話をした。

「もしもし?
和磨だけど、よろしくね!」

思っていたより声は低くなくてかといって高すぎない。
なんだか安心する声だった。

「あ、うん。
こちらこそよろしく!」

そんな第一声から始まった和磨との電話。
昼間〜翌日の朝まで私たちはずっと話していた。

気づくとなぜか私は彼に別れを告げられた元彼のことを涙ながらに話していた。
和磨はただ黙って聞いててくれた。



話し終わった後、

「そんだけそいつの事が好きだったんだな。
そいつも幸せ者だよ。
親以外でこんなに自分の事を想ってくれる
人はなかなかいない。
何が理由かはわからないままなのは辛いが
今だけだよ。」

と和磨が優しく慰めるように言ってくれた。
私は思わず号泣してしまい、彼の優しさと温かさがまるで乾き切った大地を潤す雨水のように私の心に彼の言葉が滲みた。





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「俺と付き合わない?」


いきなり和磨に言われた。
私は訳がわからなくて、電話越しに思わずきょとんとしてしまっていた。

「別にまだ元彼の事を引きずったままでもい
い。
今すぐとは言わないから、
俺のことをいつか1番に好きになってくれた
らいい。
俺と付き合わないか?
お前の事を守ってやりたいって思ったんだ。」

顔も見たこと無い相手。
もっと言えば今日知り合った相手といきなり付き合うなんて....
私は黙ってしまった。

でも心のどこがで
これが前に進むきっかけになるかもしれない
と思っていた。

「でもそんなことしたら和磨が気づくよ?」

「いいんだよ。
俺は傷付いてもお前がいいんだよ。
まぁ、そりゃ今日いきなり電話したやつに
って思うのはわかるけど俺はお前を守りた
いって思ったんだ。」

その後和磨が今までどんな別れ方をして、どんな人と付き合ったなのかを話してくれた。
元カノが浮気してた事。
自分も浮気してた事。
元カノを殺されてしまった事。
自分も自殺しようと思った事。
どれも包み隠さず話してくれた。

だから、次付き合う人とはまじめに付き合いたくて、本当に大事にしたいと思えるような人と出会った時に付き合うと思ったらしい。


私は
たくさん傷付いてきて、苦しんできた人なんだな
と感じた。
だからー・・・


「本当に傷付けるよ?
本当にそれでもいいの?
そんな辛い恋選ばなくていいじゃん。
いつ好きになるかわかんないんだよ?
もっと普通の女の子にしなよ。」

「傷付くとか付かないとかそんなのはどうだ
っていい。
夏美と付き合えるなら別にいい。
それに傷付くとかいうなら一緒にいてくれよ。
夏美と一緒に入れない方が俺は傷付く。」


私は自分に問いかけた。
本当にいいのだろうか。
彼を傷つけてしまう。
自分もまた傷付くかもしれない。
自分がちゃんと好きになってからにした方がいいんじゃないか。と....


「わかった。
こんな私でよければよろしく。
いつ吹っ切れるかわからないけど、
ちゃんと好きになるから。
それまで傷つける事になる。
辛かったらいつでも別れてくれていいから。」

気がつくと私は口走っていた。


「おう!
俺から別れるなんて言うわけないから!
俺を信じろ!
そんでいつか俺の事を1番に思ってる日がく
るって信じてるから。
こちらこそよろしくな!」

和磨は嬉しそうに言っていた。


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