彼女を10日でオトします
 シャッ。
 強引に腕を引っ張られてつれてこられた先は、カーテンで隔離されたベッド。
 
 カーテン1枚隔てた向こうには、貴兄も、琴実さんとヒデさんもいる。
 
 まあ、平気か、と思っていると、

「さ、さ。座って」

と、ベッドに腰をかけるようにと促す戸部たすく。

 肩を押されて、仕方なく座る。戸部たすくは、当たり前のように隣に座った。

「キョンちゃん、こっちむいて」

 両肩を掴まれて捻りを加えられた。
 強制的に向かい合う形に。

「近いわよ」

「えー? 聞こえなあい」

 耳、ぶっ壊れてるのかしら。20センチ足らずの至近距離で聞こえないとは。

「ねえ、キョン、キスしてやってもいいよ」

 はあ?

 ついさっき、貴兄の(お姉ちゃんの、とも言う)唇を奪った変態が、いけしゃあしゃあとよく言うわ。

「お断りよ」

「ふうん。したくないの?」

「当たり前で――」

「貴史ちゃんと間・接・ちゅう」

 私にやっと聞こえるくらいのほとんど息みたいな声で囁く。

 今、なんて――?

 固まる私をニヤリと見下ろし、貴兄に重ねた唇を中指で撫でた。

「本当は、貴史ちゃんとしたくてしたくて、しょうがないんでしょ?」

 完璧にバレてる……。
 どうしよう……。

「な、なんのつもりよ」

 駄目だ。私の声、震えてる。

  
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