彼女を10日でオトします
 じゃーん、という派手な効果音付きで、お姉ちゃんがふわりと広げたものは黒い……ニット。うーん、ワンピース?

「さあ、響ちゃん着替えるのよ!」

「ちょ、お姉ちゃん!?」

 本格的に黒い笑顔をその清楚な顔に張り付けて、にじり寄ってくる。

 ひいっ。

 爛々と目を輝かせながら、またたく間にパジャマを脱がされてしまった。寒い……。

 なんで、こんなに手際がいいのよ。

「ううむ」

 下着姿の私を前に、お姉ちゃんは頬に手をあてて不満げに唸る。

 ど、どうせ、私なんて、貧相な体してますよ。だからって、その反応はちょっと失礼じゃないかしら。

「確か、新品のかわいい下着があったはずだわ。ちょっと待っててね。
せっかくだものね、喜ばせてあげないと」

 だ、誰をですか!? お姉ちゃんは一体、私で誰を喜ばせようとしているんですか。

 再びクローゼットに頭を突っ込んだお姉ちゃんは、鼻歌を――。

「大人の階段のぉぼるぅ君はまだぁシンデレラっさぁ……フンフンフンフフン……壊れぇかけのradioぉぅ」

 そのすっごく気になる選曲は――って、途中から曲変わっちゃってるじゃない。

 断言してもいい。お姉ちゃんの頭は壊れかけどころか、すでに手遅れです。

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