彼女を10日でオトします
「キョン……手……」

 たすくさんが、真っ青な顔で私の手首をとって手のひらを見つめる。

「どうして、こんな……キョン……痛いに決まってるよね……?」

 さっきのたすくさんとは、まるで別人。震えて、か細い声。

「どうってことないわ。これは、きっと治る。
でもね、たすくさん……」

 私は、そこで言葉を切った。どうゆう風に言ったらいいんだろう?
 言葉を選ぶ。

 たすくさんが、息をのむのがわかった。

「燃えてしまった写真は、もう、元には戻らない。
のどかさんの大切なものは……」

 たすくさんの顔を見ることが出来なかった。

 私が口出ししていいようなことじゃないってのはわかってるつもりだし、きっと、たすくさんだって、考えた上でのことだったのかもしれない。

 それなのに、余計なことをして、余計なことを言った。

 だけど、どうしても、見てみぬふりはできなかった。

 家族……がいなくなる辛さは、痛いほどよくわかる。それが例え、写真だとしても。

「のどかさん、ごめんね。ちょっと、遅かったみたい」

 私は、一部掛けてしまった写真をのどかさんに手渡した。

「キョンさん……、ありが……」

 のどかさんは、その写真を見て泣き崩れてしまった。 
 
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