彼女を10日でオトします
 案外ストレートにくるのね、キョンちゃんって。それより――、

「無理に敬語使わなくてもよくない?」

「ち、違うのよ! 一瞬、警戒がほぐれちゃったの……ですよ」

 まだ、頑張るか。

「もういい加減、普通にしゃべりなって。
俺なんかに警戒したってどうしようもないでしょ?」

「……どの口が言ってるのよ。
あんたなんか、最も警戒しなくちゃいけない人物でしょうが」

 すごい言われようね。まあ、敬語じゃなくなったからヨシとしましょう。

「どの口って、この口ぃ。なんなら、確かめてみる? キョンの唇で」

「そこから突き落とされたいの?うちの階段、結構な傾斜だから、よく転がるわよ」

 ……ふうん。『うち』ねぇ。

「ここって、貴史ちゃんと燈子さんの家だよねぇ? プラス、キョンの3人暮らし?」

「そ、そうだけど……。なにか問題でもある……?」

 トイレのドアを隔てた向こうから、キョンのどもった声。

 なるほど。キョンの口調だと、俺が何を言いたいのかわかってるみたいね。

「問題ってーか、なんだろうね。
いくら姉妹って言っても、姉夫婦と同居って、ねぇ?」

「……戸部さんには、関係ないわ」

< 79 / 380 >

この作品をシェア

pagetop