彼女を10日でオトします
 無邪気に笑う戸部たすく。
 少女漫画だったら、『ぱあぁぁ』っという効果音つきで、まわりに花が咲くような。

 少なくとも、この笑みは、嘘じゃない気がする。

 笑い下手な私は、純粋に羨ましいと思った。

 そういえば、こいつ、いつも笑っている。

 戸部たすくの場合、胡散臭かったり、明らかに作り笑いだったりするけれど、笑顔は、基本的に人を不快にさせたりはしない。

 なんでこいつは、こんなに素直に笑えるのに、試すような物言いをするのかしら。

「キョン、どったの? ちゅーしてほしいの?
だったら、素直におねだりすればいいのにぃ」

 はっ。気付けば、視界いっぱいにドアップの戸部たすく。

 あろうことか、さらに接近してくる。

「何でそうなる、変態め」

 唇を尖らせる端正な横っ面を右手で押しのけて、ついでに、肩に乗ったままの手を追い払った。

「キョンちゃんのいけずぅ。いいじゃないの、減るもんじゃなし」

 頬をぷーっと膨らませて、いじけるその姿……カンに触るわ。いっそのこと蹴り飛ばしてやりたい。

「確かに減りはしないわ。ただし、私の一生の汚点になることは確かね」

「コットン、キョンちゃんが酷いの……」

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