仮眠室で囁いて

二人の関係

すっかり強引な服部先生のペースにのせられて、気がつけば先生の部屋にいる。

モノトーンでシンプルな3LDKは一人暮らしには贅沢な空間で、以前は誰かと暮らしていたのかもしれない。

私は先生のことは何も知らない。

うちの病院の凄腕脳外科医で、口が悪くて無愛想で、私をいつもこきつかい、だからいつだって目を合わせないようにびくびくしていた。

まじまじと先生を見たことがなくて、確かに本人が言うように、佐久間先生には劣りはするが、そこそこどころか充分高レベルのイケメンだ。

そんな人に告白されて結婚までするといわれて、しかもよくよく思い出せば仮眠室の暗がりでキスまでしている。

抱き枕にすると言われて部屋まで連れてこられ、今更ながらに目の前の色気たっぷりな男を意識してソファで身を縮ませた。
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