後輩はレンタル彼氏

レストランに着き、なぜレンタル彼氏をお願いしたのか、奈帆が話し出す。

奈帆「今度、友達の結婚式があって、そこに恋人として出席して欲しいの」

 奈帆は疎遠になってしまった友達の結婚パーティーに呼ばれていた。
 会費制の気軽な感じ。
 その葉書をリョウへ見せる。

 葉書に目を通したリョウは当たり前だというような声で言う。

リョウ「行かなきゃいい」

奈帆「どうしても行きたいの」

リョウ「疎遠だったのに?」

奈帆「ええ。元彼も……来るの。温厚でいい人。その、二股を掛けられて気まずくなって……」

リョウ「だから見返したい?」

奈帆「違う! 自分も今は幸せだから心配しないでって言いたいの。というより、そう思ってほしくて。二人は本当にお似合いだから」

リョウ「……二股掛けたって相手が、その美雪って招待状を送ってきた友達ってわけ、ね」

 そこまで話していないのに見事に的中されて、奈帆は小さく頷いた。

 リョウはため息混じりに続ける。

リョウ「温厚な彼といい子の友達なら奈帆を裏切ったりしない」

奈帆「そんなこと! そんなことない……」

 後の言葉は続けられずに、気まずい空気が流れた。

< 21 / 23 >

この作品をシェア

pagetop